2022年(令和4年)のダイビング事故統計

2023年6月に海上保安庁が発行した「令和4年 海難の現況と対策 ~大切な命を守るために~」より、2022年のスクーバダイビングでの事故統計を紹介します。

※グラフは「令和4年 海難の現況と対策 ~大切な命を守るために~」(海上保安庁)のデータを加工して作成したものです。

2022年(令和4年)のダイビング事故者数は42人。2017年以降、事故者数は減少傾向にありましたが、2022年は前年よりも増加する結果となりました。また、死者・行方不明者数は前年の7人から14人と倍増。新型コロナウイルス感染症に対するこれまでの規制が緩和され、ダイビング活動が再開されて久しぶりに海に行くダイバーが増えたことも原因のひとつかもしれません。

事故内容別の事故者数では「溺水」が最も多く26人(62%)。ダイビング事故のおよそ6割を占めています。ダイビング事故は水面や浅場でも多く発生しており、どんなシーンでも油断は禁物です。次いで多いのが「病気」の8人(19%)。近年、事故者における中高年が占める割合が高くなっており(年齢別事故者数参照)、それとも関連していると考えられます。

年齢層別の事故者数では、50歳代が最も多く14人(33%)。50歳代以上の中高年で事故者の半分以上を占めています。日頃の体調管理や持病のケアをきちんとし、無理のないダイビングをすることが大切です。一方で20歳代の事故者も10人と多く、どんな年齢でも油断は禁物ということがわかります。

月別事故者数を見ると、最も多かったのは7月の7人。夏場だけでなく、5月に5人、10月に5人と、ゴールデンウィークや秋のシーズンにも事故者数は多く、すべての月で事故が発生しています。また、管区別で見ると、最も多いのが第三管区の19人で、次いで第十一管区の12人。そのほか第十管区で4人、第四管区、第五管区、第六管区で各2人、第八管区で1人と、7つの管区で事故が発生しています(令和4年版 海上保安統計年報より)。第三管区は房総半島・伊豆半島・伊豆諸島、第十一管区は沖縄、第十管区は九州・薩南諸島を含んでおり、やはりダイビングで人気のエリアで事故が発生しているようです。

事故内容で最も多かった「溺水」の事故原因を見ると、知識技能不足(10人)が最多となっており、ダイビングを安全に楽しむ準備がきちんと整っていないことが原因であることも多いようです。また、潜水経験(本数)別の事故者数を見ると、「初めて」「10本未満」「10~50本未満」といった、経験の少ないダイバーの事故が約半分。一方で、100本以上の経験を持つダイバーの事故者数も25%近くを占めており、経験のあるダイバーも油断は禁物といえます。

⇒海上保安庁「令和4年 海難の現況と対策 ~大切な命を守るために~」

新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行され、これまでの様々な制約がなくなったことから、久しぶりにダイビングを楽しもうという人も増えると思います。ただし、このコロナ禍の間にブランクがあいてしまっていると、久しぶりのダイビングでストレスを感じてしまったり、いざというときに慌ててしまってスムーズに対処できないことも。まずはリフレッシュダイビングをするなどして、改めて安全にダイビングを楽しむために必要な知識やスキルをしっかりと再確認し、安全管理に高い意識を持って楽しむことを心がけましょう。

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この記事を書いた人

高校卒業時にダイビングを始め、大学生のときにインストラクターに。大学卒業後、(株)水中造形センターに入社し、『マリンダイビング』『海と島の旅』『ダイビングスクール』各誌の副編集長を務める。2010年からは世界最大のダイビング教育機関PADI日本オフィスでマーケティング・広報・ウェブコンサルティングなどを担当。2019年からは再び(株)水中造形センターにて、WEB編集部・部長/マリンダイビングWEB編集長に。現在はスナイプバレー合同会社の代表として、スキューバダイビングの普及・啓蒙に加え、海の環境保全活動にも努めています。

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