2021年(令和3年)のダイビング事故統計

2021年(令和3年)のダイビング事故統計

2022年8月に海上保安庁が発行した「令和3年 海難の現況と対策 ~大切な命を守るために~」より、2021年のスクーバダイビングでの事故統計を紹介します。

2021年(令和3年)のダイビング事故者数は35人で、過去10年では2番目に少なく、事故者数は減少傾向にあります。また、死者・行方不明者数も7人と、過去10年で最も少ない人数となっています。いずれも減少しているのは喜ばしいことですが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、ダイビング活動が制限されたことも原因のひとつかもしれません。

事故内容別の事故者数では「溺水」が最も多く17人(48%)。ダイビング事故のおよそ半数を占めています。ダイビング事故は水面や浅場でも多く発生しており、どんなシーンでも油断は禁物です。次いで多いのが「病気」の10人(29%)。近年、事故者における中高年が占める割合が高くなっており、それとも関連していると考えられます。

年齢層別の事故者数では、40歳代と60歳代が最も多く9人(26%)。次いで50歳代以上の7人(20%)となっており、40歳代以上の中高年で75%と、事故者の4分の3を占めています。日頃の体調管理や持病のケアをきちんとし、無理のないダイビングをすることが大切です。

月別事故者数を見ると、最も多かったのは7月の9人。夏場だけでなく、5月に5人、11月にも5人と、ゴールデンウィークや秋のシーズンなどでもダイビング事故は発生しています。また、管区別で見ると、最も多いのが第三管区の15人で、次いで第十一管区の11人。そのほか第五管区で8人、第十管区で1人と、4つの管区で事故が発生しています(令和 3年版 海上保安統計年報より)。第三管区は房総半島・伊豆半島・伊豆諸島、第十一管区は沖縄、第五管区は紀伊半島と四国太平洋側、第十管区は九州・薩南諸島を含んでおり、やはりダイビングで人気のエリアで事故が発生しているようです。

事故原因には、知識技能不足(7人)、気象海象不注意(4人)などがあり、ダイビングを安全に楽しむ準備がきちんと整っていないことが原因となっているものも多いようです。過去5年間の潜水経験(本数)別の事故者数を見ると、「初めて」や「10本未満」といった、いわゆる初心者の事故が約4割。一方で、100本以上の経験を持つダイバーの事故者数も25%近くを占めており、経験のあるダイバーも油断は禁物といえます。

⇒海上保安庁「令和3年 海難の現況と対策 ~大切な命を守るために~」

新型コロナウイルス感染症拡大の影響でなかなかダイビングに行けず、ブランクがあいてしまっている人も多いかと思います。久しぶりにダイビングを楽しむ際は、リフレッシュダイビングなどで改めて安全にダイビングを楽しむために必要な知識やスキルをしっかりと再確認し、安全管理に高い意識を持って楽しむことを心がけましょう。

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この記事を書いた人

高校卒業時にダイビングを始め、大学生のときにインストラクターに。大学卒業後、(株)水中造形センターに入社し、『マリンダイビング』『海と島の旅』『ダイビングスクール』各誌の副編集長を務める。2010年からは世界最大のダイビング教育機関PADI日本オフィスでマーケティング・広報・ウェブコンサルティングなどを担当。2019年からは再び(株)水中造形センターにて、WEB編集部・部長/マリンダイビングWEB編集長に。現在はスナイプバレー合同会社の代表として、スキューバダイビングの普及・啓蒙に加え、海の環境保全活動にも努めています。

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