話題のリブリーザー(SCR)マレス「HORIZON」の講習を受講してきました!

話題のリブリーザー(SCR)マレス「HORIZON」の講習を受講してきました!

ダイビングの新たな楽しみ方として今注目を集めているのが、マレスから新たに登場したスポーツリブリーザー「HORIZON」。その講習を、ディーラーである東京・巣鴨の《アクアクエスト》で受講してきました。実際に使ってみた感想など、詳しくレポートします。

マレスHORIZONとは

イタリア生まれのダイビング器材ブランド「Mares(マレス)」から新たに登場したスポーツリブリーザー。リブリーザーのリーディングカンパニーであるrEVO社と共同で開発した、画期的なレジャーダイビング用リブリーザーで、ダイビングの新たな可能性を広げる器材として注目されています。HORIZONで潜るためには、「SSI HORIZON SCR DIVERコース」を受講する必要があります。

話題のリブリーザー(SCR)マレス「HORIZON」の講習を受講してきました!

【STEP 1】
mySSIでアカウントを作成&Eラーニングで知識を身につける

HORIZONの講習は、まずはSSIが提供するサービス「mySSI」にアカウントを作成するところからスタート。SSIのダイバーでなくても、アカウントの作成は可能です。なお、「SSI HORIZON SCR DIVERコース」を受講するには、以下の前条件が必要となります。
○24本以上のダイビング経験
○エンリッチド・エア・ナイトロックス・スペシャルティ
○ディープ・ダイビング・スペシャルティ

アカウントの作成はとても簡単。利用するダイビングショップとの紐づけが完了すると、Eラーニングをスタートさせることができます。EラーニングはパソコンでもスマホのSSIアプリでも利用することが可能。操作性もよく、自分のペースで学習しやすいのが魅力です。セクションごとに復習問題が用意されており、内容がきちんと理解できているか、確認しながら進めることができます。

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【受講して感じたこと】
・デジタル環境がとても整っており、Eラーニングで学習しやすい。
・一般的なダイビングの知識に加え、HORIZONという機械の使い方をしっかりと理解する必要がある(取り扱い説明書をしっかりと読む感じ)。
・必要となるガス量の計算や、SCRならではのトラブルの対処法など、新たに覚えなければいけない知識も多い。
・けっこう時間がかかることを覚悟しておいたほうがいい。

僕はサイドマウントやテクニカルダイビングの経験も多少あったので、比較的スムーズに内容を理解することができましたが、一般的なスクーバダイビングの経験しかない人が内容をしっかりと理解するには、けっこう時間がかかると思います。わからないことや、自分の中で消化しきれないものがある場合は、インストラクターからのレクチャーできちんと解消しておくことをおすすめします。

【STEP 2】
インストラクターからレクチャーを受け、テストに挑戦

Eラーニングですべてのセクションを終えたら、次はショップでインストラクターからレクチャー。《アクアクエスト》の澤田さんが、自身の経験なども交えながら、わかりやすく教えてくれました。器材の説明のところは、実際にHORIZONの実機を見ながら受けることができたので、Eラーニングで学習した際よりもわかりやすく、早く使ってみたいという期待感でいっぱいに。必要となるガス量の計算など、自分の理解が弱いところを集中的にレクチャーを受け、最終テストにも無事に合格しました。

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【受講して感じたこと】
・Eラーニング上ではしっかり理解できなかったところを、インストラクターに直接質問するなどして、きちんと理解しておくことがおすすめ。Eラーニング教材では用語などについて、あまり詳しく説明されていない。
・リブリーザーの実機を見ながら学習すると、より理解が深まる。

EラーニングでHORIZONを使うのに必要な知識はきちんと学ぶことができますが、本当にきちんと知識が身についているのかを確認したり、特にしっかりと覚えておくべきところはどこなのかを教えてもらったりと、インストラクターとのレクチャーにはかなりの重要性を感じました。これからHORIZON講習を受ける皆さんにも、インストラクターからのレクチャーはぜひしっかりと受けていただきたいと思います。

STEP3
限定水域(プール)講習でHORIZONの使い方を学ぶ

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プールでいよいよ実際にHORIZONを使用。まずは組み立て方~セッティングについて学んでいきます。注意したいのは、HORIZONは使い方を間違えると、重大なトラブルにつながる危険性があるということ。スクラバーやホースのセットの仕方、ベイルアウトバルブの操作法など、しっかりと覚える必要があります。何度も繰り返し練習し、体で覚えることが大切だと感じました。

また、トラブルを避ける仕組みとして、セッティングの際にチェックリストを使うのも大きな特徴。項目をひとつひとつチェックして確実に進めていくことで、やり忘れを防ぎます。途中からはコンピューターの指示に従いながらセッティングを進め、エラーが出なければ準備完了。インストラクターと、水中で練習するスキルの確認をし、水中へ入っていきます。

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チェックリストをつかって確実に準備
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コンピューターには様々な情報が表示されます

初めて使うHORIZONは、スクーバダイビングとはいろいろと感覚が異なり、はじめのうちは呼吸や浮力コントロールの仕方、水中での姿勢など、戸惑うところも多かったのですが、繰り返し練習するうちに少しずつ慣れていきました。高酸素、低酸素、高炭酸ガスなどのトラブルの対処法も繰り返し練習し、海での講習に備えます。

【受講して感じたこと】
・肺のトリミングで浮力調整することができないので、慣れるまで中性浮力をとるのが難しい。
・姿勢によって呼吸抵抗がだいぶ変わる。立ち姿勢だと呼吸しにくく、体を水平にすると呼吸しやすい。
・リブリーザーを使う上で欠かせない手順をきちんとマスターする必要がある。たとえば、ベイルアウトバルブを上げたままレギュレーターを口から外してしまってはいけない、ホースにテンションをかけない、中圧ホースのつなぎ忘れを絶対に避けるなど。
・スクラバーの使い方など、重大なトラブルにつながる部分もあるので、慎重に。

とにかく繰り返し練習し、スキルを体で覚えることと、感覚をつかむことが大切。HORIZONの講習では、ダイビングの本数やスキルの習得度に加え、ランタイム(水中滞在時間)も達成条件となっており、HORIZONを使ってすごす水中時間の長さも重要視されています。限定水域(プール)講習の際も、可能な限り時間をかけて、しっかりと水中での練習をしておくことをおすすめします。

【STEP 4】
いよいよ海洋でHORIZONを使ってダイビング!

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海での講習は、スクーバの講習を同じく、限定水域(プール)講習で練習したスキルが海でもできるかの確認がメイン。ただ、HORIZONの講習は、本数を潜れば、あるいはスキルができればOKというわけではなく、前述したようにランタイムも規準となっているため、経験時間も達成しての認定となります。HORIZONを使って泳ぐ時間がいかに大事かというわけですね。

実際に海で使ってみたHORIZONは、呼吸音が少ないためとても静かで、より海の世界に溶け込める感じ。また、きちんとダイブプランを練ることで、1本で潜れる時間が長いため、広範囲を潜ることができます。魚の群れにもかなり近寄ることができ、スクーバでの1ダイブに比べて、より楽しみがぎっしりと詰まった感じ。スキル練習以外の時間もたっぷりあるので、楽しい水中時間を過ごすことができました。

話題のリブリーザー(SCR)マレス「HORIZON」の講習を受講してきました!
緊急時の対処法などを繰り返し練習します
話題のリブリーザー(SCR)マレス「HORIZON」の講習を受講してきました!
魚の群れにもかなり近寄ることができました
【受講して感じたこと】
・リブリーザーのメリットで「軽量」と言われることがあるが、陸上ではけっして軽くない。足場の悪い場所や波のある場所でのエントリー/エグジットはけっこう大変。
・スクーバでは「深くゆっくりとした呼吸」が理想だが、HORIZONでは、深く息を吐くと、オーバープレッシャーバルブから排気され、ガスのロスにつながる。「浅く速い呼吸」のほうが適しているし、水中でも排気の音が少なく静か。
・使用するシリンダーの種類にもよるかもしれないが、水中では水平のバランスがとりやすい。スクーバのシリンダーのように背中でゴロゴロしない。
・水中での呼吸音があまりなく、とても静か。特に、深い場所のほうが静かで、生物にもかなり寄れる。
・水中にいられる時間が長い。きちんとプランを立てておくことで、効率的に潜ることができる。

1ダイブを長く潜ることができ、排気音が少なく、水中での水平姿勢が取りやすいというメリットを考えると、水中撮影にもすごく良さそうなHORIZON。次はファンダイビングで、水中撮影をメインに楽しんでみたいと思いました。

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STEP5
ログづけはアプリで。認定作業もアプリで完結!

ダイビング後のログづけはSSIのアプリで行ないます。ダイブログの登録画面から、表示にしたがって入力していけばOK。ランタイムやSAC(1分間のエア消費量)、使用したガスの酸素濃度、セットポイントなどを入力していきます。入力が終わったら、インストラクターからアプリを通して承認を受ければOK。すべてがアプリで完結します。
これは認定の際も同じで、すべてのダイビングが終わったら、アプリで認定作業。しばらくするとメールで「認定おめでとうございます」が送られてきて、アプリでもデジタルのCカードが表示されます。とても手軽でスピーディーなのに驚きました。

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《アクアクエスト》澤田さんに聞いた、HORIZONをより楽しむコツ

話題のリブリーザー(SCR)マレス「HORIZON」の講習を受講してきました!

《Diving Lounge aqua QUEST(ダイビングラウンジ アクアクエスト)》
TEL:03-6906-8177
〒170-0002 東京都豊島区巣鴨1-31-6
HP:https://aquaquest.jp/

HORIZONを楽しむには、やはりきちんとスクーバダイビングができることが前提だと思います。前条件がそろっていれば、SSI以外のダイビング指導団体の人も受講可能なので、ぜひ挑戦してほしいですね。安全に対する心構えや、必要なガス量についてなど、スクーバをより安全に楽しむために活かせることもたくさんありますし、気持ちにもスキルにも余裕が出て、ダイビングが今まで以上に楽しくなるのではないでしょうか。ただし、スクーバでは許されるミスも、HORIZONでは許されないことも。HORIZONの講習を受講する際は、どんなにダイビング経験のある人でも、今までのダイビングとは違ったものと認識して受講してほしいと思います。
HORIZONの魅力は、楽しみの選択肢が増えること。今までは午前1本、午後1本のダイビングが主流でしたが、HORIZONは「何本潜るか」ではなく「何分潜るか」。1ダイブでたっぷりと潜ることができるので、行動範囲が広がり、じっくり生物を観察したり、合間でホバリングなどのスキルの練習をする余裕もあります。限られた時間の中で慌ただしく何本も潜るのではなく、1本の内容を濃くして充実させることができるのは大きな魅力。ゆっくり1本潜って、おいしいご飯を食べに行ってなど、1日のスケジュールも変わってきます。そのほか、1本目をスクーバで潜って、2本目をHORIZONで潜るなんて楽しみ方も。HORIZONを使うことで、より充実した1日を過ごすことができますよ。

マレスHORIZONの講習を受講してみて

僕自身は初めてのリブリーザー体験となるHORIZONでしたが、《アクアクエスト》澤田さんがかなりきめ細やかにレクチャーしてくれたので、スムーズに取り組むことができたと思います。とはいえ、どうしてもスクーバのクセが出てしまい、ベイルアウトバルブを切り替えないまま口から外しそうになったり、高酸素、低酸素、高炭酸ガスの対処の手順がこんがらがったり・・・。手順をきちんと守らないと、重大なトラブルや死につながることもあるので、しっかりと講習を受ける必要性を感じました。海洋実習の大部分も、トラブルを未然に防ぐための準備と、いざというときの対処法が占めているのが印象的です。
大変な部分もありましたが、これまでのスクーバダイビングとは異なる知識・スキルを身につけられるワクワク感がありましたし、HORIZONでのダイビングはとても開放感があって、特に深場での静かな時間は、海に溶け込んだかのような気持ちよさがありました。1ダイブが長く潜れるので、今までは1回のダイビングでは行けなかった場所に行けたり、じっくり水中撮影が楽しめるのも魅力ですね。今までのスクーバダイビングとは、また違った楽しみ方ができるツールとして、これからも使っていきたいと思います。「エクステッドレンジ(XR)」もぜひ受講してみたいですね。

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この記事を書いた人

高校卒業時にダイビングを始め、大学生のときにインストラクターに。大学卒業後、(株)水中造形センターに入社し、『マリンダイビング』『海と島の旅』『ダイビングスクール』各誌の副編集長を務める。2010年からは世界最大のダイビング教育機関PADI日本オフィスでマーケティング・広報・ウェブコンサルティングなどを担当。2019年からは再び(株)水中造形センターにて、WEB編集部・部長/マリンダイビングWEB編集長に。現在はスナイプバレー合同会社の代表として、スキューバダイビングの普及・啓蒙に加え、海の環境保全活動にも努めています。

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